音楽の話 #ダイヤモンドは女の親友

音楽の話 #ダイヤモンドは女の親友

ダイヤモンドは女の親友 (1953) マリリン・モンロー

 かつて世界を魅了したハリウッド女優マリリン・モンロー。彼女に対してどんなイメージをお持ちでしょうか。ブロンドヘアに真っ赤な口紅、グラマラスなボディラインから溢れ出る色気、モンローウォークに代表される独特の立ち振舞や仕草、ちょっと頭が軽そうで、それでいてミステリアスなベールに包まれている。没後半世紀以上を経た今でも、マリリン・モンローという唯一無二の存在であり続けているのは、実は彼女自身の重ねた努力の一つの結果でした。

 世界のブロンド美女のほとんどがそうであるように、彼女もまた元々は金髪ではありません。染色の技術がまだ確立されていない時代に、毎月アルカリアレルギーと戦いながら茶褐色の髪色を綺麗に染めていました。そして顔の各部分も整形が施されています。元々おきれいな顔をされていましたが、やはりハリウッドの世界では求められる美しさのレベルも違うのでしょうね。「女優マリリン・モンロー」という最高の商品を作る為、話し方や動作、言動まで事務所から(そして彼女自身によって)徹底的に管理されました。世間に定着したイメージからも分かるように、そのプロデュースは成功を遂げたと云えるでしょう。そのことは同時に、彼女のプライベートには不幸を招く結果となりました。本来の彼女はごく普通の女性でした。恋もするし、嫉妬もするし、家の中だったら普段着のラフな服装でダラダラするし、僕たち私たちと何ら変わらない一人の人間でした。しかし彼女の恋人たちは皆、女優マリリン・モンローに恋をして、本当の彼女を受け入れようとしなかったのです。3度の離婚と幾つかの不倫を経験しましたが、彼女が本当に安らげる結婚生活や求めていた幸せが手に入ることはありませんでした。

 彼女のような映画スターは、当時のアメリカではセックスシンボルと呼ばれていました。女性・男性に限らず性的魅力によって人気を得る人物のことで、ブリジット・バルドーやラクエル・ウェルチなどの女優、男性ではジェームズ・ディーンやマーロン・ブランドなどの俳優が代表的です。しかし、やはりセックスシンボルといえばイコール マリリン・モンローと言われるほど、彼女の代名詞のような言葉です。彼女自身によって創り上げたパブリックイメージでしたが、実は脱セックスシンボルを望んでいたようです。トップスターに上り詰めて5年目くらいの頃、それまでのキャリアを捨て、ニューヨークのアクターズ・スタジオで一から演技の勉強を受けています。このこと自体には成功し新しい演技も高評価を得られましたが、同時にこの頃から精神的に不安定になっていきました。

 マリリン・モンローは36歳の若さで天国へ旅立ちます。その最期は「睡眠薬の大量服毒」という事実はあるものの、未だに自殺か、事故か、他殺か、解明されていません。死の瞬間まで謎に満ちた、女優マリリン・モンローらしい実にミステリアスな人生であったのではないでしょうか。

Palus Nebularum

 「ダイヤモンドは女の親友」は映画『紳士は金髪がお好き』の中で歌われます。ジェーン・ラッセルとのダブル主演で公開されたこの作品は、1920年代を舞台に二人のアメリカ人ショーガールが結婚式のためにパリへと渡り、てんやわんやの大騒動が繰り広げられる…というミュージカル・コメディ。『お金持ち』の男だけが大好きな金髪のローレライ・リー(マリリン・モンローの役)と、しっかりものだけど惚れっぽい性格でお金はなくても『いい男』であることが重要な黒髪のドロシー・ショー(ジェーン・ラッセルの役)が、2つのタイプの女性像として対象的に描かれています。ショーのコンビでお友達の二人は、探偵に追われたり、結婚を妨害されたり、新しい恋に花を咲かせたり、無一文になったり、警察に捕まったり、裁判にかけられたり…けれど、最期は二人共それぞれの結婚を掴み取る!アメリカ式 強い女の象徴…そんな感じのイキイキとした二人が印象的な映画です。

 何曲か歌われる二人の歌も見どころで、特にパリでのショーでローレライ・リーが歌う「ダイヤモンドは女の親友」は最も有名です。アメリカン・フィルム・インスティチュートが選ぶ『映画史上の12大映画楽曲』にもリストアップされました。後世にはマリリン・モンローへの敬愛の意として、マドンナの「マテリアル・ガール」やニコール・キッドマンによる「スパークリング・ダイヤモンド(映画ムーラン・ルージュ)」、カイリー・ミノーグ、ニコール・シャージンガーなど数々の歌手によってオマージュされています。

《ピンクのドレスを着たモンロー演じるローレライが、真紅のステージで燕尾服に盛装した多数の紳士らに取り囲まれ、傅かれ、愛の象徴であるハートのプレートを示され、最後に宝石を差し出されるなか、場所がパリに因み『ラ・マルセイエーズ』の冒頭のフレーズで「フランス人は愛のために戦うという。愛のために死ぬのに喜びを見出すのね…でも私は宝石をくれる生きた男が好きなの」と歌いだし「キスは素晴らしいけれど、家賃や食費にならないわね…女が年をとれば男たちは見限るけれど、ダイヤモンドはずっとそばにいてくれる…ダイヤモンドは女の親友よ」などと高らかに歌い上げ、愛より富を欲することを宣言する。》←説明が分かりやすかったので、Wikipediaから抜粋しました。

Palus Nebularum

 結局はお金か…と現代人は眉をひそめる傾向にありますが、これもまた一つの答え。「愛は気持ち」という人もいれば「肉体の繋がり」という人もいる。「愛はお金」だって、いいんです。愛の形は人それぞれ。大切なのは自分が求める愛の形をちゃんと見つけて、しっかりゲットすることですよね。

うん、僕も頑張ろ。…だけど…僕の求める愛の形って…なんだろ…。

 

NO MUSIC, NO LIFE.

美味しいコーヒーと一緒に、音楽を楽しみましょう